照明
たまたま映画撮影用の照明がカトリーヌ・ドヌーヴの顔のあたりにハイライトを当てているということもあって、この写真の中では彼女の存在感が圧倒的なものにみえます。
そしてトリュフォーは、監督の権威というようなものもほとんど感じさせることのない、何か半ば放心したような(あるいは思いつめていたのかもしれないが)虚ろな表情で写っているのです。
シャルムールであると同時に脇役で、誘惑者であると同時に逃げ足の早い逃亡者でもあり、老成しているようであると同時に永遠の少年でもあるような、こうしたトリュフォーのすべての側面が、私にはたまらなくフランス的なものにみえるのです。
そして、彼のような男の目にそれこそ何もかも捨てて身を任せるように吸い込まれてみたいものだ、とデスクトップ仮想化する反面、とんでもない、そんなの苦労するのはこっちに決まってるのだから、と早くも逃げ腰になるのです。